第19回 愛すべき国産Vintage Guitarたち
今回は私のギター始まって以来のシグネチャ-モデルです。
これまでたくさんのシグネチャ-モデルが発売されましたが、私は使用するのを避けてきました。
っと言うのも持っているだけでそのミュージシャンのファンだと思われるのが嫌だったからです。
いくら出来が良くても個人のモデルというのは個性が強すぎて使用するのに気が引けます。
しかし、このギターは特別です。私が始めてコレクションを目的にギターを買ってしまいました。
まだ私が10代のころ、大好きだったカシオペアの野呂一生氏がヤマハにオーダーしたギターなのです。
それまで野呂氏はヤマハのSGを使用していましたが、たしかJIVE JIVEのLPの頃から使用し始めた記憶があります。
静岡県の浜松市のライブを見にいった時、いきなりステージ上に見慣れないギターが置かれ、あのギターは何だろう?と思っていたギターがこのギターの原型でした。
それまで野呂氏はヤマハSG3000や2000を使用し、84年の野呂モデルにはまだアームは無く、シングルコイルも搭載されていませんでした。
そのあと何度となく、マイナーチェンジを繰り返し、88年遂に発売になったのがこのモデルなのです。
ヤマハSG−I 1988年製 憧れのSG−Iです。
これは初期の88年製のモデルです。
色もおなじみのパープルサンバーストと呼ばれ、とてもシックな色です。
アームはロッキンマジックプロで当時の流行が伝わってきますね。ピックアップはスピネックスでメローなサウンドが最高です。
ジョイントはT−クロスと呼ばれるスルーネック構造で、メイプルとマホガニーのサンドイッチタイプ。そしてこのギター最大の売りでもあるのですが、ボディ内部がセミ・ホロウになっていて、通常のSGよりやや甘い音色が得られます。
ピックアップの配線は複雑で、HSHになっていて、センターはシングルコイルです。それぞれがタップが出来、またセンターは単独でも使用可能。
3つ同時も使用可能で、多彩な音色が得られます。また、センターのボリュームによりミックスの割合も変えられます。
本当に良く考えられたシステムで使いこなすには時間が掛かりますが、使えれば幅広いサウンドが得られるでしょう。スペック
・メイプルトップマホガニーバック
(T−クロスメイプルボディ)
セミホロゥボディ
・メイプル+マホガニースルーネック
・エボニー指板 22F (350R)
・ロッキンマジック・プロブリッジ
・フロント+リア(スピネックスピックアップ)
・センター オリジナルシングル
(コイルピックアップ アルニコV)
・バイサウンドシステム
・センター独立ON/OFF
・パープルサンバースト
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インプレッション
確実に他のSGとは違います。もっと甘く伸びやかで、しかも荒くないこの音はSG−I独特のものです。
また、バイサウンドのおかげでシングルコイルになるのでカッティングも難なくこなします。
特にセンターのシングルコイルの威力は絶大で、ストラトのハーフトーンのような音まで作ることができます。かなり考えられたシステムと言えるでしょう。
ネックはやや普通のSGより太く、ヒールに行くにしたがってかなり太くなります。しかし、握りづらいということは無く、手にしっくりときます。エンドピンも良く考えてあり、センターからずらしてあることを見てもまさにプレイヤーのためのギターですね。
アームはアップを使うことも止めることもできるもので、ボールエンドを切らずに交換できる、優れモノです。
最大の美点はSGの中でも群を抜いて軽いということでしょう。