第16回 愛すべき国産Vintage Guitarたち
またまた、トーカイ製のストラトキャスターです。
前回のバーガンディ・ミストのストラトはやや期待はずれでしたが、今回はどうでしょう(笑)
トーカイST70 ストラトモデル エクストラ改 84年製
今回のストラトはちょっといわく付きです。
っと言うのはこのストラトは普通のストラトでは無く、
もとはロック式アームの付いたエクストラシリーズなのです。
80年当初にオールドレプリカブームの嵐が吹きまくり、
その後今度はヘビメタの流行によりクレイマーや、シャーベル、ジャクソンなどのアメリカコンポギターが爆発的にヒットしました。
これらのギターには必ずロック式トレモロが付いていました。
フェルナンデスはフロイドローズにそっくりのヘッドバンカーやヘッドクラッシャー、ヤマハはロッキン・マジック、その他あらゆるメーカーからロック式トレモロアームが発売されました。そのほとんどはボディに大きなザクリが必要で、またネックにはロックナット取り付けビスの穴が空けられました。
トーカイでも必要に迫られて、このエクストラと銘打ったロック式アーム付きギターが発売されました。
しかし、どこから見ても、これではフロイドローズには勝てないだろうと思わせるくらい形の悪いアームでした。
当然このアームはヒットする訳もなく、市場にはほとんど出回ることはありませんでした。しかし、こんなアームにもひとつだけメリットがありました、
それはボディに加工を必要としなかったことです。
ロック式ナット用の小さい木ねじ2本以外は普通のシンクロナイズドトレモロ用のボディにぴったり付いてしまうのです!
っということはギター自体は完成度の高いトーカイ製ストラトのままということです。
私はこのギターを見つけ、速攻でアームをシンクロナイズドに戻しました、するとどうでしょう!ストラトらしい軽いサウンドに戻ったではないですか!!
これはすごくラッキーでした。アームの重量を測るとシンクロナイズドトレモロは約240g、
エクストラトレモロは倍の450gもあったのです。 しかもロック式ナットまでついていたのですから、当然、音質も変わってしまいますよね。市場ではロック式アームの付いたギターは今人気が無く、とても安い値段で売られています。
このトーカイのストラトならば、シンクロナイズドトレモロさえ買えば、オーソドックスなストラトに戻すことが出来ますよ
私も当時の定価7万円の品を17800円で手に入れました。
インプレッション
音のほうはバーガンとは全く違い、張りと艶のあるバリッとしたストラトらしい音色です。
やっぱりストラトはこうじゃなきゃねぇ〜(笑)
3トーンサンバーストの色合いも見事で、まさに64年式のストラトのような、黄色があまり透けない3トーンサンバーストです。
ボディはアルダーのセンター2ピースです。’63年のヴィンテージストラトと並べても見劣りしません!あとはピックガードをミントパーツに交換してあげるくらいかな?
これはこれで良い感じだけどね追加 栃木県高根沢町にあるミートショップ小清水さんのところであるギターを見つけました。84年製のストラトモデルなのですが、ロック式トレモロ搭載のものでした。この辺の詳しい話は、国産ヴィンテージギターの欄で書いていますので、詳しくは書きませんが、このギターのボディがとても良く出来ているので、いつかこのギターをチューンアップしたいと思っていました。ついに完成したので紹介します。
ネック
まず、ネックです。やや指板の角が立ったものだったので、まずはこれを交換しました。
たまたまフェンダージャパンのストラト用ネック(ローズ指板)が手に入ったためこれと交換。
形状もトーカイとフェンダージャパンでは違っていて、フェンダージャパン製のほうが音の立ち上がりがやさしくなりました。セレクタースイッチ
セレクタースイッチをCTS製に交換、3ポジションスイッチにしました。
これは20年前に買ったもので、76年製ストラトを買った時に、補修用パーツとして買ったものです。
国産のセレクタースイッチはコストを優先し、作りがチャチなのでUSA製にしました。
特別音が変わるとは思えませんが、こだわりですね(笑)ボリューム、トーンポッド
これもCTS製に交換しました。これも上記と同じように76年製ストラト補修用に20年前に購入してあったものです。
音が変わるとは思えませんが、あまりにも貧弱なポッドが付いていたので交換しました。
ただし、シャフトがインチサイズなのでそのままではセンチサイズのノブが付きません。
私は若干の加工をしてノブを取り付けました。コンデンサー
50年代のストラトはオイルコンデンサーが使われ、60年代はセラミックコンデンサーが使われています。
このトーカイのストラトは60年代のコピーなので本来ならセラミックをつけるべきですが、なかなか良いセラミックコンデンサーが無いのでオイルコンデンサーを購入しました。通常店頭では1,200円〜2,000円で売られていますが、200円という破格値で購入しました。
音はやや抜けが良くなったかな?と言う程度です。それほど変わりませんね(笑)ピックアップ
これが一番ウェイトを占めると思われます。
インターネットのオークションにて20年前のダンカンSSL−1を3個セットで購入。
これまた格安で、3個で13,000円でした。
純正ピックアップの音も決して悪くありませんが、やや音が新しい感じがして気に入りませんでした。
交換したところ、これがびっくり!私の持っているヴァンザントや、フェンダーとほとんど遜色ない音なのです。
低音の出かた、中音域の引っ込み具合、高音のきらめきなど、まさにヴィンテージサウンドと呼べるものです。
うーんピックアップひとつでこれほど変化するとは思っていませんでしたねぇ(笑)ちょっと驚きです。もっと良いピックアップを付ければさらに良くなるのでしょうが、それでは安く楽しむことが出来なくなってしまいます。取りあえずこれで良しとしましょう。
トレモロブリッジ
前述しましたが、ロック式トレモロがついたエクストラシリーズだったので、これをシンクロナイズドトレモロへ交換。しかもヴィンテージには定番の鉄ブロックです(笑)これもある楽器屋さんで格安でゲット!
当然サウンドも変わりました。ロック式によくあるタイトなサウンドからややルーズなものになりました。
やっぱオールドストラトはこうでなくちゃね!ピックガード
ピックガードは白だったので、ミントグリーンに交換しました。
やはりローズ指板のストラトは62〜63年のストラトがイメージ的に強いですからね!
これが白とミントグリーンでは大きくイメージが変わってしまいます。
またピックアップカバーも真っ白だったので、紅茶で茶色に染めました。総 評
改造はこれくらいでしょうか。ネックとピックアップを交換したことがかなりの変化をもたらしたようです。
結果的にオリジナルパーツはボディだけになってしまいました(笑)
が、もともとこのボディに惚れて購入したようなものですから、これはこれで良かったのかも!
気に入ったボディに気に入ったピックアップ、好きな形状のネックを取り付け、好きなようにセッティングする。
ほとんどコンポーネントギターのノリになってきましたね(笑)もうどこから見ても聞いても私のもっている63年製ストラトにそっくり!
3トーンサンバーストの色合いも絶品だし、ネックプレートにはLから始まるシリアルが打ってあり、これもポイントが高いですね。ギターを含めてトータル4万円以内でした。これなら手軽に楽しめますね!