フェンダーストラトキャスター1957年製 詳細版
たくさんの雑誌や書籍で取り上げられているため、いまさら書くことがあまりありませんが、取り合えず見た目と感想を書いていきましょう。
まず、スペックですが、シリアルナンバーは-2から始まる中期のものです。ネックデイティングは9/57、ボディデイティングは7/57でした。ボリュームポッドは溝のあるタイプ、当然四角いオイルコンデンサーが付いています。
セレクタースイッチは3点のオリジナル、ピックアップカバー、ボリュームノブ、トーンノブ、セレクターノブ、トレモロアームノブともにナイロン製でやや黄ばみがあります。初期のものにはこれらのパーツの中にメラミンパーツが混じっているものもありますが、私の57年ストラトはシリアルからも分かるように中期に当たるためパーツもすべてナイロン製になっています。
ピックアップもおなじみの3,4弦のポールピースが飛び出たタイプで、コードも布被覆です。
トレモロのブロックは鉄、サドルにはフェンダーのマークとパテントが入ったこのヴィンテージ特有のサドルです。
重量はとても軽く、私の持っているストラトの中でも最軽量で、3.3kgを切っています。
アッシュ材時代はかなり重さにバラつきがあり、中には4kg台のストラトもあったようですが、アルダーに変更されてからはほぼ3.4kg台に収まっているようです。一概に軽いから音が良いとは言い切れませんが、やはり軽さは特徴のひとつにちがいありません。まずこれが57のヘッドです。あまり面取りが無く、かっちりとした仕上がりなのはたくさんの書籍に掲載されている通りです。
また、ペグは1列クルーソンで、かなり年季の入ったモノです。
ネックのシェイプは57年の特徴である、Vシェイプで、ほど良い太さと形状でとても握りやすく、良い感じです。この辺は結構バラつきが激しく、ハードなVやファットなVなど色々あるようですね。
色はあまり焼けていない白っぽいもので、この辺は好き々でしょう。
塗装は所々剥げ始めていて、見るからに年季が入っています。特に指板の剥げ具合は良い感じで、いかにも50年代のヴィンテージギターらしく、握り甲斐があります(笑)こちらがボディです。ごく普通の2トーンサンバーストですが、アルダーのために、色合いがそれまでのアッシュとは違い、木目があまり目立ちません。
また、外周は黒ではなく、かなり濃いブラウンです。そして厳密には2トーンでは無く、イエローと濃いブラウンの間に薄いブラウンが吹かれていて、実は3トーンサンバーストです。これは現物を見ないと分からないかもしれません。
そして、50年代のストラトの最大の特徴である深いコンターですが、エルボー部の削ぎ落とし、ウエスト部の削ぎ落としのものすごく深くこれは本当にびっくりします。
このコンター加工はこれまでのたくさんのコピーモデルやレプリカでも再現出来ていません。
60年代のコンター加工は良い感じで再現出来ているのですが・・・
強いて言えば、比較的うまく再現しているのは80年代のグレコのスーパーリアルシリーズのコンター加工が一番似ていると思います。音についてですが、まずボディが良く鳴るのが印象的です。アンプを通さずにローコードを弾くと、かなりボディが振動します。
これが良い楽器の条件かどうかは分かりませんが、楽器全体が鳴っているようでとても良い感じがします。
アンプを通して鳴らしてみると、特に感じるのはピッキングの強弱に対して、とても反応が早いということです。自分の思った通りの反応が返ってきます。
また、和音のまとまりが良いと言ったら良いのでしょうか?
コードをジャラーンと弾いても音がまとまっています。
この音も他のモデルでは再現できないようです。
私の持っている63年製ストラトと比べると同じストラトと思えないくらい音色が違います。これは個体差というよりスペックの差でしょう。
やはり50年代と60年代では時代背景や求められる音の違いからずいぶん変化してきたようです。
総じて50年代のストラトは軽い音、60年代のストラトは重い音がするようです。イメージとしてはやはりクラプトンのブラッキーやブラウニーのような音でしょうか?
当たり前ですが、ヴァンザントやフェンダーのヴィンテージシリーズとも違う独特の音色がします。やはり57年製ストラトは57年製ストラトにしか出せない音色があるようですね。